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小説「ブレイブ・ストーリー」宮部みゆき

小説「ブレイブ・ストーリー」宮部みゆき

現実の世界、ごくごく普通の生活を送っている主人公の亘。
しかし、突如現れる父親の不倫相手、それによって家庭は崩壊し、父親も家を出てしまう。
悲嘆に明け暮れる母の姿を見て、亘は運命を変えることのできる女神が住むという世界「幻界」へ旅にでることを決意する。
その世界は、まるでゲームの中のようで、トカゲ男のキ・キーマ、ネコ娘のミーナなど、仲間達と出会い、女神のいる「運命の塔」を目指すことに…

最近映画化もされた、宮部みゆきさんのファンタジー小説。
宮部みゆきさんの本もたくさん読んできましたけど、この方は本当に多彩な作品を書きますね。
「模倣犯」のような現代的なミステリーから、「本所深川ふしぎ草紙」のような下町人情の時代小説まで
それもこれも自分の興味のあることや、趣味が幅広いからなせる業なんでしょうね。
著者は大のテレビゲーム好きでも有名で、その趣味はこの作品にもいかんなく発揮されていて、細部にRPGの定番を思わせる展開がちりばめられています。

作品の前半部分は亘の現実世界での生活が書かれていて、その量は作品全体の3分の1近くにもなります。
その内容は、家庭が崩壊していく様子が子供目線で描かれ、ファンタジーや冒険活劇とは程遠い。
読んでいる途中は、長いなぁと思ったり、早く冒険部分に行かないものかと…
それに、亘の幻界へ旅立とうとする動機にも納得できませんでした。
亘は単純に「家出した父親に戻ってきて欲しい…」の一心なんでしょうけど、不倫相手の女性が悪というわけでもなく、両親の心が離れてしまっているのに、形だけ元通りにすることになんの意味があるのか…

しかし、結果としては、この前半部分をくどくどとしつこく描くことによって、後半部分の亘の成長をより明確にする効果があったのかと納得しました。
そう考えて読んでみると、この現実的な前半部分とファンタジー的な後半部分が等価に描かれていることこそがこの小説の肝なんだなぁと思えます。

前半部の自己中な思考、支離滅裂な論理、近視眼的な母への愛情…これは子供の子供たる所以なんだと…
そして、亘は幻界で旅するうちに、まわりを見ることを知り、自分で思考し、人の気持ちも理解できる。
そんな、少年が大人へ成長する冒険を描いた物語です。

剣と魔法の純ファンタジーを期待して読むとガッカリするかもですが、作品としてはとてもよくできています。
幻界の魅力的な仲間達やワタルとミツル(亘のライバル)の戦いなど、作品としては少し長いですけど、楽しくて最後まで一気に読んでしまいます。

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ブレイブ・ストーリー (下) ブレイブ・ストーリー (下)

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